2010年6月3日木曜日

報告 「アジア・太平洋地域エネルギーシフト戦略会議」報告

1)ワークショップのタイトル
 「アジア・太平洋地域エネルギーシフト戦略会議」報告

2)主催および共催団体: みどり関西

3)部屋番号: 南734 (午前)


■ 「アジア・太平洋地域エネルギーシフト戦略会議」のねらい
 日本の民主党政権は歴史的ともいわれる政権交代を果たしたにもかかわらず、前自民党政権の行ってきた原発増設路線を踏襲している。そして、日本各地の反原発運動は30年40年といった長期にわたるものもあるが、残念ながら日本の原発推進政策を転換するには至っていない。そんななか、六ヶ所村核燃料再処理施設の反対運動から、「反原発・脱原発」といった否定的な呼称の運動を一新すべく「エネルギーシフト」と銘打って、原発に関心の低い人の意識も高めようという考え方も出てきている。

 ところで、今年2010年の4月30日〜5月2日、台湾にて「アジア太平洋みどりの台湾会議」が行われる。この会議は、アジア・太平洋地域から、環境・人権・平和・草の根民主主義を中心にした「みどりの政治」をめざす、みどりの政治グループ、及び緑の党が参加するもので、気候変動、原発、核兵器、生物多様性などの諸問題についての情報交換や行動計画について討議が行われる。私たち「みどり関西」からも数人がこの会議に参加し、原発についてのワークショップを呼びかけることから、このワークショップでの議論をアジア・太平洋地域からの参加者と共有し、具体的な行動に結び付けたいと考えている。

■ワークショップ報告
 約10名の参加者を得て、ワークショップを開催することができた。
 前半約1時間を情報共有と話題提供の時間として、アジア・太平洋地域における原発の状況、日本における原発施設の状況、都道府県別の再生可能エネルギー自給率、市民運動展開のアイデア提示などを行った。(パワーポイント資料参照)

 後半は、アジア太平洋地域におけるエネルギーシフトについて意見交換を行い、下記のような意見が出された。
● 「政府を変える(政策転換・例:再生可能エネルギー研究、開発に予算を増やす)」
 「自治体を変える(市の施設に太陽光発電・脱クルマ)」「自分のライフスタイルを変える」という3つの柱でそれぞれの活動を展開していくのがよいのではないか?
● 各地の反原発運動が政党(共産・社民)と結びついているために全国の原発運動が一つになりにくいのではないか?
● ピークオイルの影響で、電気自動車の普及が拡大し、原発推進派にとっては有利な状況になる可能性もある。
● 電気を大量に使う工場の電気料金体系を現行の「使えば使うほど割安になる」ものから一般家庭と同じ「使えば使うほど割高になる」料金体系にすべきとの意見もあるが、そうすると、各工場が石油や石炭による自家発電をして、CO2排出量が増えるという懸念もある。
● 岡山県恵庭市の木質バイオマス活用は成功しているので、このノウハウを全国に広めるべき。
● 小水力発電は農村地域では有効だが、都市部では供給量が少なすぎる。
● 原発推進派は「原発は電力使用量ピーク時(真夏の午後1時ごろ)への備え」と主張するのであれば、市民に全体のエネルギー使用量を伝えて見える化し、各自がピークであることを自覚して電気使用を控えるような仕組みにすればよいのではないか?
● 日本の国民が原発に対して消極的賛成をする理由は、電力会社(電力中央研究所)による「原発は火力やガス発電に比べてCO2を排出量が少ない」とするデータ(グラフ)なので、原発の建設時、発電時、ウラン採掘、運搬時、廃棄時、核廃棄物処理時に発生するCO2を全て足し合わせても本当にどれぐらいのCO2が発生するかを検証すべき。
● 原発廃止といっても様々なレベルがある。1、全原発を即時停止する。2、東海地震が予測される浜岡原発とプルサーマル転用している原発は即時停止する。3、原発の増設は行わず、老朽化した原発を廃炉にして段階的に原発を廃止する。

■さいごに
 「アジア太平洋エネルギーシフト戦略会議」という少々大それたワークショップ名ではありましたが、参加者から実に有意義な視点、情報、アイデアをいただくことができました。
 さらなる情報収集を進め、アジア太平洋みどりの台湾会議につなげていきたいと考えています。最後になりましたが、このワークショップの機会を与えてくださったおおさか社会フォーラム実行委員会のみなさんに心から感謝いたします。

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■追記
 おおさか社会フォーラム開催の後、4月30日〜5月2日に「アジア・太平洋みどりの台湾会議」が開催されました。http://apgn2010.org/home
みどり関西からは5名が「みどりの未来派遣団」として参加し、静岡からのメンバーらとともにAPGN(アジア太平洋グリーンズネットワーク)として「アジア太平洋地域における核エネルギーに関する決議」として、アジア太平洋地域から核施設に反対し、台湾の第四原発廃止を台湾政府に求める決議を提案し、可決させることができました。

 また、帰国後、台湾・フィリピン・韓国のメンバーとスカイプ会議を開催し、
 Green Energy No-Nukes Asia Pacific
 (GENNAP)を設立し、原発に関する情報共有を進めていくことになりました。http://nonukesasiapacific.blogspot.com/

 GENNAPは今後オーストラリア、インド、パキスタンからのグリーンズメンバーを募集し、既存の反原発運動やネットワークと連携しながら、活動を展開していきたいと考えています。
 原発のないアジア・太平洋地域を目指して、共にがんばりましょう!

 報告者:松本なみほ、(みどり関西)

※配布資料
 http://socialforum.jp/socialforum/PDF/chirashi/OsakaSF_Midori.pdf

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