おおさか社会フォーラムに参加して
トランセンド研究会 藤田明史
私は2004年1月にインドのムンバイで開かれたWSFに参加し、その熱気と自由で解放された雰囲気が忘れられないので、大阪でおおさか社会フォーラム(OSF)が企画されていることを知った時、ぜひ参加したいと思いました。そして、3月22日(月)の13:30から16:00まで、トランセンド・ワークショップ「紛争をトランセンドしよう――平和創造の方法を共に考える」を行いました。
当日は複数のワークショップやオープンスペースが同時並行して行われたので、われわれのワークショップへの参加者はほとんどいないのではと心配しました。前日の全体会議では約500名が参加し、当日は何人の参加者があったのか判りませんが、私は10名でも来てくれたらなあと内心期待していました。結果は5名でした。トランセンド研究会のメンバーが5名参加したので、全部で10名のワークショップを行いました。もっと宣伝していたら、もう少し来てくれたかもしれません。この点、反省しています。けれども、参加した5名の方はそれぞれ個性があって、それぞれのやり方で敏感に反応してくださったので(沈黙も含めて)――少人数だからこそのメリット!――、私としては楽しくかつ充実した時間をもつことができたと思います。
トランセンドのメンバーが各自の役割の分担をしたので、ワークショップはスムーズに進行しました。まずは各人の自己紹介。続いて、トランセンドがOSFに参加する意義の説明。どちらかといえば自己主張を押し通す運動が多い中だからこそ、対話を重視するトランセンドが参加する意義があるのでは、といったことを強調しました。
第1のセッションは「真珠の首飾り」のエクササイズ。「祖母の形見として真珠の首飾りが残された。ある日、姉は友人の結婚式があり、妹は彼とのデートがあり、2人とも真珠の首飾りを着けていきたい。さて、どうしたらいいでしょうか?」様々な意見が出たあと、紛争転換のチャートに当てはめ、「トランセンド」とは何かの説明。続いて暴力・平和概念のミニ・レクチャー。トランセンド法という実践面のメソッドの元には、暴力・平和に関する基礎理論があることを説明しました。ここまでが前半。
後半はまず自由にいろいろな意見を出し合ったあと、大阪が直面する紛争(コンフリクト)として、普天間の米軍基地を関空に誘致するという橋下知事の発言に表現された、首長と大阪府民との間の紛争を取り上げました。まず、諸アクターの選定から始まり、各アクターのゴール(目的)は何かを話し合い、諸目的間のどこにどのような矛盾があるかを考えていきました。そして、基本的な矛盾として、安全保障(security)と安全(safety)、「新自由主義の経済」(neo-liberalism)と「もうひとつの経済」(another economy)の対立が取り出され、その背景には日米安保、およびそれを支える構造的・文化的暴力があることが指摘されました。このような中から、紛争の平和的転換の方向は、「日米安保体制」からの「撤退」であることが見えてきました。議論の過程はいろいろな発見を含む、エキサイティングなものでした。
2時間半があっという間に過ぎました。このような場を設定していただいたOSFの実行委員会の方々に敬意を表したいと思います。そして、参加してくださった5名の方に心より感謝いたします。
以上
普天間の米軍基地を関空に誘致するという橋下知事の発言を取り上げているところがローカルでタイミングが良いテーマだったと思います。私も参加したかったです。
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