ワークショップ名-「北米自由貿易協定(NAFTA)とサパティスタ民族解放軍の蜂起」
主催-メキシコ先住民運動連帯関西グループ
会場-南館72号室、午後
参加者数-用意したレジメを48部配布、常時40人前後が参加
最初に添付レジメにもとづき、蜂起に至る歴史的・社会的背景とその影響、また彼らのゲリラとしての特徴について報告がなされた。報告で強調されたのは、以下の4点である。
「1982年の債務危機以降、IMFの主導で新自由主義経済政策が導入され、資本、貿易、農地売買等の自由化がなされた。そのことによってメキシコ、中米、カリブ諸国の農業は壊滅的打撃をうけ、特にチアパスでは、アリゾナ産の安いトウモロコシの流入と、コーヒーの国際価格の暴落によって、先住民小規模農家は土地を奪われていた。NAFTAはそれに拍車をかけることが確実だった」
「彼らが目指しているのは武力解放闘争ではなく、国際社会、メキシコ社会全体を巻き込んだ下からの大衆運動と、先住民共同体における教育、医療、道路整備等の生活改善の活動や女性差別撤廃の運動を通じての先住民自治の獲得にある」
「脆弱な武器しか持たない、しかも公然と活動しているサパティスタをメキシコ政府が掃討できないのは、メキシコ社会、国際社会の広範な支持があるからであり、特に、94年末の再占拠闘争はチアパス発の世界金融恐慌を引き起こし、その再燃を恐れるメキシコ政府に武力鎮圧路線を転換させることになった」
「軍隊は最も官僚的な組織であり、軍隊が権力を握ることは官僚的で、強権的な支配体制を敷くことを意味する。従って彼らは権力を求めないし、権力には参加しないとする」
20分間のコーヒータイムの後、DVDの上映。サパティスタに関する映像はメキシコ内外のNGOやボランティアによって、これまでも数多く国際社会に発信されてきた。しかし近年、サパティスタの間で、自らの手で映像を発信しようという機運が高まり、撮影チームが編成された。まず、それらの作品2本を上映。村での生活や貧困な医療事情下で懸命にその改善運動に取り組む村人を描いたドキュメント風劇映画が興味深かった。
次に上映されたのは、関西グループのメンバーが、2002年、06年、08年の年末から09年の初頭にかけてサパティスタ支持基盤の村を訪問したさいに撮った作品。道路、学校、診療所、集会施設などいずれもささやかなものなのだが、それらの施設が時を経るごとに改善されていく様子が実感できるものであった。最後は、国際NGO作成の、恋と闘争の間で悩む、サパティスタ兵士と村の娘の恋愛映画。
これらの映像を通じて、武装闘争一筋という従来のプロトタイプ化されたゲリラのイメージとは異なった、サパティスタの村人にとけこんだ姿、そして柔軟な闘争スタイルを参加者に十分アピールすることができたのではなかろうか。
なお、サパティスタの村でとれたコーヒーを一杯100円で提供し2600円の売り上げ、ポスター、Tシャツなどのサパティスタグッツの売り上げは7800円あった。収益は次回サパティスタの村を訪問する会員に託して、彼らにカンパする予定である。
※資料
http://socialforum.jp/socialforum/PDF/chirashi/zapatista.pdf
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